<Yes You Can>
一昨日の話題の続きです。
あのクラスと出会う前のクラスの話です。
1997年、木刈中から転勤した私はいきなり3年生の担任になりました。
1988年に開校した栄東中学校。生徒数減少に伴い2015年に閉校しましたが、開校当時は「制服のない学校」「校則のない学校」などで有名になり、千葉県内外から多くの視察を受け入れた学校でした。
私が転勤したときはちょうど10年目。
自由と自分勝手のはき違いが起きていて、集団としてのパワーが失われているように思えました。
「自分が自由でいることには責任が生じる。まわりの自由も保障してこそ真の自由だろう。お前の自由によって誰かに迷惑がかかるとしたら、そんなものは個人の自由ではない。単なる自分勝手だ。協調性を身につけない自由は、本当の自由ではない。」
異論もあるかもしれませんが、私は当時の学級通信「3年ぼうず」にこんなことを書いていました(手書きの「ぼうず」は、ほとんど処分しましたが、残してあるものもあります)。
「先生はこの学校に来たばかりなんだから、自分の価値観を持ち込まないでほしい」
「じゃぁ、お前たちの価値観って何だ?好き勝手に生きてるだけじゃないか」
1年勝負の学級でしたが、最初はとにかく生徒達とぶつかりました。
私は大好きな「合唱」で学級を一つにしようと思って、リーダーたち数人で練習を計画。朝練も始めました。そのうちに、共感してがんばり出す子が。
しかし特に男子は、合唱などまったくやる気がなくみんなバラバラ。
あきらめそうになるリーダーたちに言い続けた言葉が [ Yes You Can ] でした。
実はこの言葉、私自身に [ Yes I Can ] と言い続けた言葉の裏返しでした。
そのうちに朝練に集まる生徒が毎日増えていき、歌い方も様になって行きました。
「おなかに手を当てて腹式呼吸を意識して歌おう」
さすがに男子は、半分以上がやりませんでした。
こうして迎えた合唱コンクール当日。
なんと子ども達全員が、お腹に手を当てながら歌うというサプライズ。
泣けました。まるでドラマのようでした。
ステージから下りるときには女子のほとんどが泣いていました。
卒業の歌「大地讃頌」も感動的に歌い上げ、とてもよい卒業式になりました。
苦労は多かったけれど、たくさんのおかえしをくれたクラスでした。
ところで [ Yes We Can ] は、2008年のアメリカ合衆国大統領選挙において、バラク・オバマが用いたスローガン。
では [ Yes You Can ] は何かというと、私が1997年に自分の学級に向けたスローガン。
う~ん、著作権が・・・。
その証拠が、この創立20周年記念誌です。
なんだ、このオチは。