更新時間 23:55
[ 自分の考えを言う ]
下の文は、読売新聞の読者投稿欄に載ったものです。
日本にいた間、私は日本人の学生にドイツのことについてたくさん聞かれました。「ドイツではどんなスポーツが一番人気ですか」「ドイツ人はみんな銃器を持っていますか」「ドイツの食べ物の間では何が一番有名ですか」―など。その質問に答えることは簡単ですが、ちょっとつまらなかったです。
私がドイツへ帰ってから、ドイツの高校1年生に日本のことについて質問されました。
「日本の教育システムは本当にそんなに厳しいですか」「日本の学生はその教育システムが変わってほしいですか」「日本人は小さな家に住んでいるので、けんかは多いですか」など。とてもおもしろい質問だと私は思います。
日本の学生は先生の質問に長い答えをしません。ドイツでは自分の考えを全部出さなければなりません。そしてテストでも一つの言葉で答えることはだめです。
日本とドイツの学生の考え方はずいぶん違うと思いませんか。
みなさんはこの記事を読んでどう思いますか。もしチャンスがあれば、仲間と意見の共有(Sharing Ideas)をしてほしいです。
ちなみにこの記事が書かれたのは、25年前の1994年です。
話は変わりますが、民主主義の根幹をなすものは、何でしょう。
それは、みんなが自由に自分の意見を述べ合うことですよね。その色々な意見を調整するために「議会」というものが存在するのです。
その「議会」の場で、みんなが意見を言わず、まわりの様子をうかがっていたのでは、何も決まりません。最悪の場合、ある一人や一部の勢力の考えで結論が導かれてしまいます。そうなると、議会制民主主義は崩壊します。
もちろん、何かしらの考えがあって、あえて沈黙を守ることはあります。作戦や駆け引きとして。
でも、いつもそれではしょうがない。
日本人は、だまって素直に言うことを聞く人のことが好きですが、欧米人はあまり好きではありません。場合によっては、この人は何を考えているんだろう、と敬遠される場合すらあります。
誤解があっては困るので、確認します。
素直に言うことをきくことは大切なことです。そういう場面が多いほうがいいに決まっています。でも、時には「はい」「いいえ」だけでなく、しっかり自分の考えを述べることが必要だという意味です。
下の衝撃の写真。私にも若い頃があったという証拠の写真です。今から30年前の、まだ劣化する前の。
左側の青年は、オーストラリアから来たALTのカーリンです。この写真は、彼の故郷オーブリーを訪れた時のものです。
彼の家族の家に滞在して、妹さんの学校を見学したり、バーベキューをしたり、スキーに行ったりなどなど、本当に今でも楽しい思い出がよみがえてきます。特にお父さんが非常に前向きな性格で、とても楽しかったです。
さて、その滞在中に彼に聞いたことが次のことです。
「日本人についてどう思う?」
彼は一言いいました。
“ Sitting o the fence.” 「日和見」という意味です。
つまり、日本人は、自分の考えを言わず様子を眺めているだけ。
この時の、彼のこの表現は、私にとって非常に衝撃的なものでした。 つづく。