1年ぼうず

眞野 義行

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<先生は先生なんですよ>

事情があって困っている教え子と一緒に、市役所の2つの課に行きました。

色々手続きを行い、当面の問題が解決しました。

しかし彼は、これからの長い人生のスタートラインに立ったに過ぎません。

市役所で処理を待っている間、彼は私にこう言いました。

「先生は、どこで何をしていても先生なんですよ。議員さんをしていたとしても先生なんです。それは僕だけじゃなく、ほとんどの人たちにとって」

「何だよ急に、深い話しだな」

一緒にラーメン餃子を食べた帰りの車の中では

「ほとんどの人は自分がどれだけ幸せかなんてわからないんですよ」と、ぽつりと言いました。

中学時代は散々私に怒られましたが、憎めないところがある子でした。

「これで眞野先生と会うのは最後ですかね」

「ばか、たまには様子を見に行くからちゃんと生きろよ」

「はい、ありがとうございました」

感動的な話しでも何でもなく、現実という壁に立ち向かっていく若者の話しです。